中小製造業の事業変革・ビジネスモデル変革・新製品開発を伴走・支援する『TECH-TOSHI』です。
今回は、東京理科大学 MOTの講義より、『標準化/シマノの事例』について、ご紹介します。
1.ポイント
ポイントは、
『標準化された部分をコストダウンや市場拡大のために有効に活用しつつ、標準化されていない部分で差別化して利益を上げる』
でした。
※詳細な内容は、最後の5.内容に記載しました。
2.気づき
気づいたことは、
『インテルはデファクトによるマザーボードなど周辺部分をコストダウンさせることによりパソコン市場を拡大し、
シマノは、すでにモジュール化により標準化され多くの会社が参入していた自転車市場において
自社独自の技術で新しい部品群を自ら開発・ブラックボックス化し、それらの部品を一体で販売することにより自社のシェアを拡大した』
です。
自分は、ルアーフィッシングのリールも、ロードバイクのディレイラーもシマノ製で、大変楽しませてもらっていますが、
ロードバイクで初めて走ったときに、変速レバーを組み込み込んだブレーキレバーには、大きな感動を覚えました。
余談ですが、コロナ禍においても、自転車業界は業績が好調だったそうで、
ある自転車の部品を製造している中小製造業の役員から、
『コロナ禍においては受注が多く、非常に忙しかった』との話を聞きました。
3.課題
ここでの課題は、
『どこまでの領域を自社独自の技術で抑え、また、どこまでの領域を従来の規格のままにするか』
です。
シマノは、リールや自転車などギア部品に優位性を持つ技術を保有していますので、ギア周辺の部品領域も自社で抑えることとしたようです。
4.解決策
自社のコア技術を真ん中として、その周辺部分の領域も自社独自で技術開発により抑えることが望ましいです。
ただし、周辺のどこまでの領域を自社領域とするのかは慎重な検討が必要です。
新たに開発した技術もブラックボックス化するかどうか併せての検討が必要です。
ここまでくると、いかに標準化が競争戦略のツールとして有益であるか、ご理解いただけるかと思います。
また、シマノのこのケースは、部品売りであるのですが、コトラーによりBtoBのブランド化の事例としても取り上げられています。
今回は、『標準化/シマノの事例』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。
5.内容
『標準化/シマノの事例』
シマノは戦時中の一時期を除き、部品専業メーカーとして国内外市場を開拓し続けてきた。
日本にもマウンテンバイクのブームが輸入されたとき、マウンテンバイクの専用部品を開発し、世界中へ販売した。
シマノは、JIS化されていなかったマウンテンバイクの基幹部品に目をつけ、
これを差別化部品として世界市場へ投入した。
そのシマノが本格的に自転車部品の世界トップブランドとして成功したのは、
1973年の商品名『DURA-ACE』に始まるコンポーネントシステムの販売開始である。
ここに規格化が大きな役割を果たしている。
シマノの戦略は、JIS規格で細分化されていた部品を、さらに良い状態で組み合わせるために、
JIS規格を利用しない新しい部品群を自ら開発し、それらの部品を一体で販売した。
例)ブレーキレバーへの変速レバーの組み込みなど
ただし、シマノ自身は完成車には絶対に手を出さず、部品メーカーに徹していて、
最終的には他社の部品と組み合わせて完成車とする必要があったため、
他社製品とのインターフェース部分は当然、JIS規格を利用する必要があり、
JIS規格をインターフェースとしての規格として利用したのである。
多くの標準化は「任意規格」であり、
使うことが義務付けられているわけではないが、
自転車のようにモジュール化が進むと、
他の部品との接続はJIS規格に適合していなければ商品として販売先がない。
シマノは自転車の部品のうち核となるギア関連を広くサポートしており、
複数のJIS部品間の接続を独自の接続に変更することが可能であった。
シマノは、既存の規格の使いたい部分だけをうまく利用し、
利用したくない部分に自社独自の高機能を持ち込み差別化したのである。
出所)江藤 学(2021).『標準化ビジネス大全』.日本経済新聞出版本部

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