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競争ポジション ニッチャーの戦略定石

中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。 

 

今回は、東京理科大学 MOT(技術経営)における 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『競争ポジション ニッチャーの戦略定石』について、ご紹介します。 

 

技術経営

1.ポイント

内容は、

 

『ニッチャーの市場へのアプローチは変化した

 

でした。

 

1.ニッチャーの戦略定石

 ニッチャーは、隆盛を極める恐竜のように大きなシェアを誇る企業とは別の生存領域を確保する。

 ニッチャーの生存領域は、小規模な市場であり、独特なニーズを持った顧客をターゲットとしていることが多い。

 

 市場規模が小さくても、ユニークな製品・サービスによって、顧客サービスを充足させられれば、高い収益率を確保できる。

 市場規模が限られているため、期待される利益の絶対額は小さく、大企業にとって市場参入のインセンティブは高くない。

 

 一般企業が参入したとしても、新たな組織能力を獲得しなければならないことが多い。

 既存のニッチャーを押しのけて、ニッチ市場を攻略するには時間と手間が必要であり、先行するニッチャーと同程度の

 収益性は確保できない。

 

2.ニッチャーの定石的マーケティング・ミックス

 ニッチ市場の高収益性という目標のために、ターゲットとする市場セグメントを絞り込み、狭く深い製品ラインで、

 アプローチすることがニッチャーのマーケティング・ミックス構築の基本方針となる。

 

 インターネットを利用した電子商取引の普及や宅配便サービスの充実などによって、ニッチ市場成立に必要とされる規模が

急速に小さくなった。

 マニアックなまでの特殊なニーズを持つ顧客とも、一対一の関係が成り立つため、ニッチ市場におけるプロモーションや流通の

あり方も大きく変わりつつある。

 

出所)網倉、新宅、『経営戦略入門』、P243-245

 

2.講義からの気づき

講義から気づいたことは、

 

『ニッチャーにとっては、チャンスが拡がった』 です。

 

 ここでも、ネットによるECの活用が拡がった効果が出ているようです。

 

より市場セグメントを細分化して顧客へ直接アプローチできるようになったため、リーダーが参入しにくくなっていることがあります。

 

中小製造業にとって、ECをぜひ活用したいところです。

 

技術経営

3.現状

 ニッチ市場というと小規模な市場で、このセグメントだけに資源を集中する というイメージがありました。

 

ネットの普及からのネットワーク効果も考えれば、顧客と直接取引をするチャンスは拡がっています。

 

しかしながら、中小製造業においては、長年BtoBのビジネスを続けてこられたからか、ECによるBtoCのビジネスへの参入に、

躊躇してしまうところもあるようです。

 

4.解決策

 山田(2021)は、「量」と「質」の軸からニッチ戦略を10に分類しています。

 

①技術ニッチ、②チャネル・ニッチ、③特殊ニーズ・ニッチ、

④カスタマイズ・ニッチ、⑤切替コスト・ニッチ、

⑥空間ニッチ、⑦時間ニッチ、⑧残存ニッチ、⑨ボリューム・ニッチ、⑩限定量ニッチ

 

です。

 

 出所)山田、『競争しない競争戦略』、日本経済新聞出版社

 

5.今後の課題

課題としては、『自社はどのニッチ戦略を選択するか?』 です。

 

ニッチ戦略にもいろいろあるので、自社が存在する市場においてどのようなポジションをとるのかを考慮し、ニッチ戦略を選択することが必要です。

 

そして、ゆくゆくはデジタル技術(EC含む)を活用し、顧客と直接取引をすることも検討されてはいかがでしょうか。

 

今回は、東京理科大学 MOTにおける 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『競争ポジション ニッチャーの戦略定石』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。