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競争ポジション チャレンジャーの戦略定石

中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。 

 

今回は、東京理科大学 MOT(技術経営)における 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『競争ポジション チャレンジャーの戦略定石』について、ご紹介します。 

 

1.ポイント

内容は、

 

『リーダーが同質化しにくくなるような差別化を

 

でした。

 

1.チャレンジャーの戦略目標

 チャレンジャーの目標は、自社シェアを拡大し、リーダーの座を奪うこと。

  上位企業からシェアを奪うのが得策であると言われている。

 

 リーダーと同じ土俵に乗って正面から競争しても、チャレンジャーの勝算は大きくない。

 シェアを奪うための定石はリーダーとの差別化である。

 違いを顧客に認識してもらい、ある程度の価格プレミアムであれば支払ってもよいと顧客に考えてもらえるようにする。

 

 常に注意しておかなければならないポイントは、リーダーによる模倣・同質化の阻止である。

 

 チャレンジャーの基本的戦略方針は、リーダーに模倣されない差別化によって首位奪取を目指すこと。

 

 <方策>

 1)リーダーが保有しない経営資源に基づいた差別化を行う。

   チャレンジャーのみが保有する資源がある場合、競争優位は持続的になる可能性が高い。

 

 2)リーダーが同質化しにくい事情を抱え込んでしまうような差別化を行う

   チャレンジャーに対する模倣・同質化が可能であっても、その実行を妨げる「内部事情」を抱えてしまう場合がある。

   ①カニバリゼーション、②周辺事情への悪影響、③技術や生産設備の埋没費用、④顧客基盤の保護、⑤過去との整合性 など。

 

2.チャレンジャーの定石的マーケティング・ミックス

 ターゲットをリーダーよりも絞りこむ必要がある。

 フル・カバレッジよりも、やや絞り込まれている「セミ・フルカバレッジ」でターゲット市場にアプローチすることが適切である。

  

出所)網倉、新宅、『経営戦略入門』、P237-242

 

2.講義からの気づき

講義から気づいたことは、

 

『中小製造業が、チャレンジャーの定石を真似してよいのか?』 です。

 

つまり、チャレンジャーのように、リーダーに模倣されない差別化を行えば良いのか? ということです。

 

3.現状

 以前、勤務していた製造業での開発においては、差別化となる技術の開発が必須でした。

差別化技術が構築し特許が取得できなければ、テーマを続けさせてもらえなかったためです。

 

しかしながら、差別化技術から新商品を開発し、市場へ販売していくということは、リーダー企業と競争することとなります。

つまり、リーダーに戦いを挑むことです。

 

しかし、中小製造業にとっては、リーダーと戦うことは避けなければなりません。

まず、勝ち目はないからです。

 

4.解決策

 山田(2021)は、リーダーと同じ土俵に上がらないという意味で、ニッチと差別化は似た概念であり、リーダーと違う戦略をとる

という点で、両者は混同して使われやすい。しかし、両者はまったく別物である と述べています。

 

チャレンジャーの戦略定石である差別化戦略は、リーダーとの違いを強調することによって、リーダーと戦う戦略で、リーダーのシェアを奪うことが目的である。

 

ニッチ戦略は、限られた市場において利益を上げていく戦略であり、リーダーとは戦わない戦略である。

 

つまり、狙うべき市場としての、リーダーが参入しにくい状態にある限られた市場 が存在することが大前提ということです。

 

 出所)山田、『競争しない競争戦略』、日本経済新聞出版社

 

5.今後の課題

課題としては、『リーダーが参入しにくい状態にある市場を見つけることができるか』 です。

 

ニッチ市場が生まれるのは、

市場の発展初期の段階では、大企業が見過ごしている市場で、

成熟市場では、一定数の顧客が存在するが大手に支配されていない市場 

と言われています。

 

今回は、東京理科大学 MOTにおける 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『競争ポジション チャレンジャーの戦略定石』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。