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顧客価値と企業収益

中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。 

 

今回は、東京理科大学 MOT(技術経営)における 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『顧客価値と企業収益』について、ご紹介します。 

 

技術経営

1.ポイント

内容は、『差別化と低コストの両立は可能であるでした。

 

企業収益の源泉は、提供している付加価値である。

付加価値は「産出額(販売額)と中間投入物価格の差」として定義される。

 

付加価値を大きくするためには、

1)品質を高めて差別化し、自社が提供する製品・サービスの価格を高く評価してもらう。

2)コストを削減する。

 

の2つの方策がありうる。

 

Porter(1985)は、差別化と低コストの両立は難しく、差別化か低コストのいずれかを追求すべきであると主張している。

 

PIMS研究所は、顧客による知覚品質を高めることで、差別化と低コストは両立可能であると主張している。

 

自社はどのような価値ネットワークに組み込まれているか、その最終顧客は何に対して価値を感じ、知覚する価値にどれだけの対価を

払ってくれるのかを十分に検討する必要がある。

 

出所)網倉、新宅、『経営戦略入門』、P220

 

 

2.講義からの気づき

講義から気づいたことは、

 

『顧客による知覚品質を高めるためには、モノ以外での品質を高めるべきではないか』 です。

 

例えば、モノを納入した後のメンテナンスを充実させることにより、商品・サービスとしての品質を高めるとかです。

 

品質を高めればコストはどうしても上がりますし、モノ自体の機能の向上に対して、顧客は価値を感じるのかどうかです。

 

顧客が抱える顕在化された課題に対して、解決できる・似たようなモノは、市場に溢れています。

 

 

技術経営

3.現状

 「モノづくりからコトづくりへ」と言われて久しいですが、現状では、なかなか、コトづくりを創出することはできないようです。

 

以前勤務したITベンダーにおいても、従来のソフトウェアパッケージを売り切りで納入していたビジネスのやり方を、変えることはできませんでした。

 

結局、新商品の外販は止めてしまいましたが、

これでは、市場の変化からの顧客の要望が変化しているにもかかわらず、いわゆる自社都合のビジネスを続けるプロダクトアウトになってしまいます。

 

4.解決策

 今後、事業・企業経営の継続に対して、単純なモノ売りでは不確実性が高くなってくると思われます。

 

まずは、自社のポジションを見直すことが必要ではないでしょうか。

 

 

MOTにおける『価値創造』という講義にて、ゲストの方が強調していたことの一つに、

 

『自社はどこで戦うのか、戦うべきところに経営資源を集中すべき。』

 

『「どこで戦うのか」をあまり考えない経営者ほど「効率的に」運営することが経営だと勘違いしている。』

 

と述べておられました。

 

確かに、設備稼働や作業の効率の改善からの生産性の向上に、日々注力されている製造業が多いと思われます。

 

もちろん、日々の改善活動による効率の向上は必要なことなのですが、併せて自社のポジションについても検討が必要と思われます。

 

5.今後の課題

『製造におけるプロセス改善やビジネスシステムの改善による効率の向上』というレベルでは、顧客へ新たな価値を提供することはできません。

 

市場の変化からの顧客の要望に対して、ビジネスモデルレベルから見た自社のポジションの見直しが課題の一つです。

 

今回は、東京理科大学 MOTにおける 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『顧客価値 企業収益』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。