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顧客価値 価値マップによる戦略分析

 中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。 

今回は、東京理科大学 MOT(技術経営)における 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『顧客価値 価値マップによる戦略分析』について、ご紹介します。 

 

技術経営

1.ポイント

内容は、『一定の許容範囲を前提として、品質スコアの近い競合品の価格動向に注意を払うことでした。

 

1)競合品との相対的ポジション

価値マップは、評価者の主観的な判断を反映するため、マップが評価者によって異なることがある。

また、特定の製品に関する価値マップは、現実の消費者による評価を必ずしも反映していない可能性もある。

 

しかし、限られたデータから、業界における競争状況を読み解くための手段として用いることはできる。

ある程度の許容範囲を設定すれば、近似線を価格・品質曲線を代理とするものと便宜的に扱うことは許容される。

 

※競合品の価格動向には注意が必要!

 

同程度の品質スコアであるにもかかわらず、競合製品との価格に大きな開きがある場合には、品質スコアで考慮されていない他の要因が、消費者にとってどれだけ魅力的かを検討する必要がある。

 

同水準の品質スコアであるにもかかわらず競合品よりも高価格で販売されている製品については、価格差を納得してもらえる

だけの「理由づけ」がないと、消費者の支持を得ることは難しい。

 

2)競争上の焦点の変遷

 時間の経過とともに、業界における競争上の焦点が、どのように変化してきたのか分析できる。

  

出所)網倉、新宅、『経営戦略入門』、P206-209

 

2.講義からの気づき

 講義から気づいたことは、

 

 『業界における、競争上、品質スコアの高いキーファクターより、業界動向を予測する』 です。

 

「時間の経過とともに、業界における競争上の焦点が、どのように変化してきたのか分析できる」のならば、

予測もできるのではないか ということです。

 

技術経営

3.現状

以前、勤務していた製造業において、車向けに商品企画を行いました。

 

重点的に検討した内容は、車業界の大きな動向であるEV化によって、抽出したキーとなる要因に対して求められる要求特性値が、どのようにシフトするのか でした。

 

企画において、要求特性値がシフトする先の特性範囲に当てはまるよう、新たなコンセプトから目標の特性値を設定しました。

 

そこから具体的な開発においては、そのコンセプトを実現すべく評価用サンプルを作成し自社における特性値の評価を行い、顧客に特性値のご評価をいただき、次期マイナーチェンジにおいて搭載したい旨のご依頼をいただきました。

 

<ご参考>

 https://tn-ylbg.jimdofree.com/product-development021/

 

 

4.解決策

 まずは、大きな業界の動向から、変化するであろう品質スコアの高いキーファクターを明確化することです。

 

そして、そのキーファクターの要求される特性値が、現状の範囲・領域から、どこの範囲・領域へシフトするのか、

予測することが必要です。

 

それを新たな商品・サービスのコンセプトの背景として、顧客に対するPRのきっかけとするべきです。

 

5.今後の課題

今後は、『発想力』や『創造力』も必要ですが、『連想力』のスキルも、ますます重要になると思われます。

 

ここでいう、『連想力』とは、『風が吹けば桶屋が儲かる』 のことで、『これがこうなると、あれはこうなるだろう』 と連想できるかどうかです。

 

つまり、業界の動向に対して、どのファクターがどのように変化するのか、の予測ができれば、競合に先行することができます。

しかも、顧客に与える価値としてのキーファクターの属するカテゴリーも、今後は移動することも予想されます。

 

今回は、東京理科大学 MOTにおける 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『顧客価値  価値マップによる戦略分析』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。